危機管理などの視点から、強く舛添知事を糾弾しました(代表質問)

本日、都議会公明党として、舛添知事問題を中心に、代表質問(登壇者:上野和彦都議・江戸川区選出)を行いました。私も、都議会公明党の政務調査会長代行として、全同僚議員の皆様とともに、全力で調査、原稿作成に携わらせて頂きました。皆様からお寄せいただいているご意見を踏まえ、これを率直にぶつけるとともに、中身のある質疑を行うことができたと思います。

これはあくまで予定原稿で、実際に行われた質問とは、細かな言い回しなどで多少異なる点もあるかもしれませんが、それ以外はこの原稿の通りとなっていますので、ご一覧ください。なお、見出しは、私が便宜的に付したものです。

平成28年6月7日 都議会公明党 代表質問 上野和彦

【弔意とお見舞い】

都議会公明党を代表して質問を行います。

まず、このたびの熊本・大分の震災で、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様に、心からお見舞いを申し上げます。

一日も早く、平穏な日々を取り戻し、復興がさらに進みますよう、われわれも取り組んでまいります。

【知事問題】

質問に入ります。

はじめに、舛添要一知事をめぐる問題についてであります。

舛添知事に関しては、海外出張経費、毎週の別荘への公用車使用、さらには政党助成金や政治資金の私的流用疑惑など、およそ一般都民の倫理観や金銭感覚からかけ離れた疑念が、連日報道されています。

もともと、前・猪瀬知事が贈収賄の疑惑について都議会から追及を受けた挙句の果てに辞職した後であり、何より都政への信頼を取り戻すことが、後任知事に託された大きな責務でありました。

ところが現実は、新たな都政課題を扱うべき毎週の会見だけでなく、知事就任後、ようやく実現した福島県訪問でも、記者会見は、舛添知事による弁明の場と化してしまいました。

リオ五輪を目前にして、都政の一層の前進を図るべき、この本会議においても、質疑の大半を、知事問題に割かなければならないこと自体、遺憾の極みであります。

舛添知事の活躍に期待を寄せた多くの都民の心情を思えば、率直に言って裏切られたという思いでいっぱいです。

知事は、本件を議会に初めて説明すべき機会が、この第二回定例会であることを十分に自覚し、誠心誠意、臨むべきでありました。

しかるに、所信表明は、真摯に都民に説明する姿勢が全く見られず、都民の理解を得ようとする意欲が伝わらないものでした。

都政トップにある者が、公人としての説明責任を果たさず、舵取りに欠くことのできない都民の信頼を失っている現状は、それ自体、都政の停滞であり、都民に重大な不利益をもたらすものであります。

【調査結果】

加えて、昨日、第三者による調査結果や公表後の記者会見も、新たに重大な疑念をもたらすものでありました。

知事は記者会見の場で、三つのけじめを表明されましたが、都民の納得を得られるものではありませんでした。例えば、湯河原の別荘を売却するとされていますが、煙たいものから都民の目をそらすようなもので、何の解決策にもなりません。

そこで、調査結果やこれまでの知事の説明を踏まえ、改めて知事の姿勢を質してまいりたいと思います。

調査結果は、疑念を抱かれる項目については返金を促し、そのほかは問題なしとしています。多くの項目で、返金が妥当という指摘を受けたこと自体、極めて異例の事態です。

そうした失態が発生した原因、責任を、第三者ではなく、舛添知事ご自身がどう認識しているのか。この点を明らかにすべきです。見解を求めます。(Q1)

調査結果では、指摘されている数々の公金の私的流用疑惑、公私混同の疑惑について、いずれも、すべて「違法性はない」と強弁。その上で、その一部について、違法とまでは言えないが「不適切であった」として返金などの措置を求めるものでした。

知事、今回、あなたが問われているのは、合法か違法かではありません。私たちが怒っているのは、知事の公金に対する麻痺した感覚であり、庶民の生活感覚からかけ離れた公私を混同した金の使い方であり、多くの方々からから「税金を払いたくなくなった」とまで言われているのです。

そもそも、政治資金規正法の目的は「政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため」であり、さらに「政治活動の公明と公正を確保し、もって民主政治の健全な発達に寄与することを目的とする」としています。政治資金をどう集め、どこでどう使ったのかを有権者の前に明らかにし、その政治活動の是非を有権者が監視し、判断できるようにするための法律です。

知事の政治資金の「適切」「不適切」を決めるのは、あくまで都民であります。

また、昨日、弁護士が「違法性はない」と調査結果を公表されましたが、元検事とはいえ、知事に雇われた弁護士に過ぎません。違法か合法かを判断するのは、現職の検事、検察など捜査機関であり、最終的には裁判所であることも指摘しておきたいと思います。

今後、調査結果に基づき、知事が返金を行ったとしても、道義的責任は残ります。

知事は、返金さえすれば都民は納得すると、お考えなのでしょうか。答弁を求めます。(Q2)

【事務所家賃について】

次に、事務所家賃についてであります。

報告書では、事務所の土地建物の所有、賃貸について適切であり、違法性はないとしております。

そもそも、この事務所建物については、平成2年9月に、舛添知事本人が購入したものを、夫人が社長を務める、株式会社・舛添政治経済研究所に売却をし、平成25年7月に舛添知事が買い戻すという不可解な所有権の移転が行われています。

そして、舛添氏が舛添政治経済研究所に事務所部分を貸し、そして同社がさらに政治団体に貸すという利益を二重に生み出す形態をとっています。

今回の報告書で明らかにされた家賃だけでも、自由民主党参議院比例区第28支部、新党改革比例区第4支部、舛添要一後援会、グローバルネットワーク研究会、泰山会と名称は変わるものの、舛添氏が代表を務める政治団体から7年間で3,700万円もの家賃が支払われております。

舛添政治経済研究所は、不動産売買賃貸及び管理を主な目的とした企業であり、政党交付金を原資としたお金が家賃ビジネスに消えていると言わざるを得ません。

違法性はないとの報告が、仮に正しかったとしても、道義的・倫理的責任から逃れられるものではありません。知事の見解を求めます。(Q3)

【政党交付金】

次に、舛添知事が関係した政治団体の収支報告に関する疑惑であります。

一つは、政党交付金の流用であり、もう一つは、公私混同であります。

政党交付金の流用問題についても、本来、残金があれば国庫に返還しなければなりません。しかし、都知事選を前に、今はすでに解散してしまっている政治団体を経由して、舛添知事の現存の政治団体に入っています。そもそも残金を国庫に返還すべき政党の責任者は舛添知事であり、その政党交付金を政治団体間の寄付を通じて受け取っているのも、舛添知事です。

さらに政党交付金による借入金の返済疑惑です。政党交付金は政党助成法第14条において、借入金の返済に充ててはならない。とされています。

しかし、新党改革に入った政党交付金が、その都度、数日後に、政党支部を経て、舛添知事の政治団体であるグローバルネットワーク研究会に流れ、そして、借入金の返済のタイミングを見て、新党改革に寄付として戻された後、銀行からの借入金の返済の一部に充当されています。

この借入金の返済のための脱法行為は、昨日の弁護士の調査報告書でも触れられておりませんでした。

このような政党交付金にまつわる疑念について、都民にどう説明するつもりなのか。知事に見解を求めます。(Q4)

さらに、舛添知事は新党改革の代表者であった当時、新党改革本部から平成24年に800万円、平成25年に250万円、舛添知事本人に組織対策費を支払っています。

これについて昨日の弁護士の調査報告書では、舛添知事が平成24年から平成25年にかけて、日程表には他党政治家との会合なども多数記載されていて、説明を裏付けるような状況もあり、不正に使用されたと疑うべき事情は存じないと記載しています。

しかし、総務省のマニュアルによると、組織対策費は項目別区分において、組織対策費と記載した上で、支出の目的には支出ごとの形態別の費用項目の記載を求めています。

舛添知事は記者会見で、「私はどんな買い物をしても領収書を取るのです。」と断言されています。

そうであるならば、誰と会ったかは明らかにできないかも知れませんが、この1,050万円を組織対策費として使った領収書を提出すべきであります。

それができないと言うのであれば、個人的に着服したと言われても仕方ありません。知事の見解を求めます。(Q5)

【政治資金規正法関係】

次いで、公私混同についてであります。

美術品や骨とう品、果ては私的な会食費や旅行代など、是非が問われている出来事が、収支報告書への記載年月日は、知事就任以前であっても、その疑惑を指摘され、対処を求められているのは、今の舛添都知事です。

その対応の如何は、知事の政治家としての真価が問われるものであり、都知事に対する信頼の問題として、都政に甚大な影響を及ぼします。

たとえば、美術品については、およそ、その品物を購入し、保有しなければ、そのことに基づく文化政策を語れないというものではありません。

美術品や書の購入について政治団体の収支報告書では「資料」だとしています。しかし、美術品は単なる「資料」ではなく、価値ある資産とみるのが一般常識です。これほど長期にわたり大量に購入した美術品等を「資料」であるとしたのは、資産隠しそのものであります。

調査結果では「絵画・版画等の譲渡契約書等も存在しないことから、所有関係が不明瞭になっていることは否定できない」としています。複数の政治団体にまたがって購入されてきた美術品や書は、まさに脱法的に蓄積されてきた資産と断ぜざるをえません。知事の見解を求めます。(Q6)

調査結果では購入した美術品や書の一覧が明らかにされました。その中には「都庁に保管」とわざわざ断り書きがされているものがあります。これは、美術品等を政治活動に活用しているという単なるアピールとも受け取れます。調査報告では他の美術品や書は一体どこに保管されているのか明らかにされていません。どこに、どういう形で保管されているのか、知事の明確な答弁を求めます。(Q7)

知事のファミリー企業である「株式会社舛添政治経済研究所」の登記簿を見ると、会社の目的の中に「絵画・陶器等美術品の販売」と明記されています。政治資金で購入された美術品や書が本当に一つ残らず保管されているのか、転売や譲渡はなかったのか、疑念を持たれて当然と考えますが、知事の答弁を求めます。(Q8)

【飲食について】

次いで、「宿泊費」及び「飲食費」についても、著しい公私混同の実態が明らかになりました。

報告書に掲載された「宿泊費」全19件のうち、約半数が家族を伴った宿泊であることが明らかになっています。このうち政治資金からの支出が不適切で、是正が必要とされたものが6件ありました。

こうした私的な政治資金の使用は「飲食費」にもおよび、65件の全支出中、「家族での私的な食事」または「私的な食事」が約4分の1を占めています。

これらの数字から、全体として浮かび上がってくるのは、明るみに出なければ、まさに政治資金を家族との娯楽費に充てていたであろう姑息さであります。

なお、これ以外にも「飲食費」のなかには、「支援者との会食」も含まれており、場合によっては、有権者に対する飲食の提供を禁じた公職選挙法に抵触する恐れもあります。

政治家には、一般有権者よりも、高い見識と倫理観が求められるはずであります。

知事は、これら一連の疑惑について今一度、都民に説明すべきです。見解を求めます。(Q9)

調査結果については、今後もさらに追及の質疑を重ねたいと思います。

次に、直接、都政に関わる知事問題について質問します。

はじめに、海外出張経費であります。

【海外出張経費】

改めて申し上げておきますが、わが党は、都市間交流自体は、異文化の尊重や大都市問題の解決を通じて、平和の創出など世界への人道的な貢献につながるものと考えます。

そのうえで、都議会公明党は、去る3月18日、海外出張経費について、その削減と公開を求める申し入れを行いました。

これに対し、都からは、申し入れ後に実施された米国ワシントンDC・ニューヨーク市への出張においては、随行職員4名の削減に加え、随行職員の宿泊施設や航空機座席のランクの格下げなどの経費削減に努めた旨、報告があったところであります。しかし、見直しは不十分なものでした。

検討会を設置し、会合を重ねているとのことでありますが、知事の海外出張経費の原資はもともと都民の税金です。納税した税金を無駄遣いはして欲しくない、節約して大切に使って欲しいとの都民感情を真摯に受け止めるべきでした。

そもそも、検討会任せにしてしまった対処の仕方に、都民は、知事はまるで、この問題の責任が自分以外の誰かにあると考えているかのような印象を抱き、失望しているのです。

都の都市間交流の成果すらも薄めてしまった感のある自らの対応について、知事に見解を求めます。(Q10)

【公用車、別荘問題】

次いで、湯河原への公用車の使用の問題であります。

これは単に公用車の問題にとどまらず、首都・東京のリーダーとしての舛添知事の責任感の問題であります。

知事は、当初、強くその正当性を主張していましたが、世論の批判の高まりを受けて、その後、結局、湯河原には公用車を使用しないと表明しました。

しかし、それだけでは、知事が従前の自分の釈明の中でどんな点を反省し、何をどう改めるべきと考えるに至ったのかが不鮮明です。

そこで、まず、事の経緯を確認したいと思います。

舛添知事は、昨年5月から今年4月までの約1年間において、ほぼ毎週末、都庁から百キロも離れた湯河原町にある、株式会社舛添政治経済研究所が保有する保養所、いわゆる別荘に公用車で通い続けました。

警視総監や都の消防総監は、特別な理由がない限り、都内を離れません。各署の署長も、所轄管内を離れるには、特別の許可が必要です。ましてや、都民の命運を預かる最高ポストにある人物が、さほどの理由もなく、しかも毎週のように、負託を受けた地元・東京都を離れること自体、思いもよらない発想です。

特に、首都直下地震が危惧される昨今です。危機管理上も、知事が東京を離れる際には、それ相応の備えが必要です。舛添知事の「まったく問題ない」との発言は、その点でも疑念を持たれるものであってはなりません。

知事は、知事公用車について「動く知事室」と表現されました。知事は、公用車に乗車している間であれ、いずれかの場所で宿泊しているところであれ、私用の車に乗車している時であれ、災害時にも、優先的に使用できる公用携帯電話を常に所持してることになっています。

しかし、車内からの知事の指示を、都庁側がどう受け止め、対応しているのかをつぶさに確認できなければ、「動く知事室」といくら強弁しても、絵に描いた餅に過ぎません。

災害時には、対応に追われる職員の士気を高めるためにも、都民に安心感を与えるためにも、知事は常に現場の最前線に立って、陣頭指揮を執るべきであります。

知事ご自身、わが党の質問に対して、「危機管理で重要なのは情報であります。そして、強力なリーダーシップで、それに基づいて対応することでございます。」と発言されています。

知事との連絡が取れない状況下であっても、都庁全体の対応に支障をきたさぬよう、職務代理を立てる仕組みや、災害発生時点や発生が予測された時点から、タイムスケジュール的にすべての職員が執るべき行動が、予めマニュアル化してあるのです。

だからといって、知事が毎週のように都内を離れ、温泉にいてよいわけがありません。

例えば、かつて伊豆の大島町においては、共産党員の町長が、同行を予定していた他の首長が視察を取りやめる中、台風の接近を知りながら視察に出かけ、豪雨によって甚大な土砂崩れ被害が発生してしまったことは、まだ記憶に新しい事実であります。町長権限の委譲が予め行われておらず、不幸にして、避難勧告の発令が遅れるなどの齟齬が発生し、被害が拡大したとの報道もありました。

伊豆大島の教訓は、災害の発生が予見されるときには、首長として、自ら守るべき地域を、離れるべきではないということであります。

昨年9月9日から11日にかけて、北関東を中心に線上降水帯が発生し、10日には鬼怒川が決壊しています。また、足立区に隣接する草加市では綾瀬川が危険水位を上回る中、堤防溢水を回避するため、国土交通省荒川下流事務所を中心に、懸命の対応が行われていました。

都内でも一部地域では、避難勧告が発令されていました。

こうした中、常総市などの被害を救援するため、都庁、警視庁、東京消防庁の職員が知事や警視総監、消防総監の命により、常総市などに緊急派遣されています。都内でも、9月10日までの時点で、軽傷1名、家屋の一部損壊1棟、床上浸水8棟、床下浸水14棟などの被害が発生しています。

しかし、舛添知事、あなたは9月11日、午後3時前、湯河原に向けて公用車で出発しているのです。

知事の命により、職員が懸命に救出救援に携わっている間、知事は湯河原に行っていたのです。

加えて、翌12日の朝5時には東京湾を震源とするマグニチュード5.2、最大震度5弱の地震が発生しました。交通機関の乱れのほか、負傷者やエレベータ停止、漏水などの被害が都内でも発生しています。知事は湯河原に滞在していました。

災害時、道路が使えなければ、警視庁か東京消防庁のヘリコプターが知事を湯河原に迎えに行かざるを得ない状況に陥ります。しかし、知事さえ都内に居れば、そのヘリコプターは都内で活躍し、何人もの人命を救っていることでありましょう。

このほか、わが党が起ち上げた調査チームの報告によりますと、知事の湯河原行きは、大雨や洪水の警報の発令後の解除前に、何回も実施されています。暴風警報の最中の場合もありました。

たとえば、平成27年5月30日は、小笠原の母島で震度5強、23区で震度4の地震が発生しました。その直後に湯河原に向かっています。

7月3日は大雨警報が発令され、その晩には都内に洪水警報が発令されていました。その最中、知事は湯河原に到着しています。

9月18日は、大雨・暴風・洪水の各警報が発令されていました。この日も、知事は湯河原におりました。

平成28年1月15日には、都内在住の学生などが死亡したスキーバスの転落事故が発生しています。まさにこの日、知事は事故の発生後に湯河原に向かっています。

都内を絶対に離れてはいけないとは申しません。しかし、こうまでして、毎週のように湯河原に行かねばならない理由は何だったのか。

知事はかねてから、東京を世界一安全な都市にすると発言されています。発言している内容と毎週末のように都内を留守にするという行動とでは、全く一致していません。知事の見解を求めます。(Q11)

知事の移動のあり方に関しては、警視庁のセキュリティポリス、すなわちSPが同乗する公用車の使用という点も含め、要人警護の視点からの検討も必要です。

知事の自宅近くには特設交番が設置されています。一方、別荘には特設交番は設けられておらず、SPも泊まりません。神奈川県警の立ち寄り警戒に止まると聞いています。

しかも、先ほど指摘したとおり、知事は復路にあまり公用車を使用していません。

それなら、湯河原に滞在中や都内に戻る際のセキュリティはどうなっていたのでしょうか。そもそも、往路だけ対策が講じられていれば済むようなセキュリティ対策とは、いったい何なのでしょうか。

身勝手な知事の毎週末の湯河原行きのために、都のセキュリティ対策は、破たんに陥りかねなかったのです。この点も知事の見解を求めます。(Q12)

一方、報道を目にした都民からは、毎週のように湯河原を訪れることが可能なら、東京都知事には、およそ週末の公務は存在しないのかと、驚きにも似た疑問が聞かれました。

多くの都民は、町会・自治会、消防団や様々なボランティア活動など、平日も週末も時間を割いて、尊い社会貢献活動に従事して下さっています。毎週末、湯河原を訪れていて、知事はどこまで真剣に都民の負託に応える活動をしていたのか、全く理解できません。見解を求めます。(Q13)

一年間に50回近くも公用車を使って都外の別荘に赴くことが、違反にはならないようなルールは、都民の常識に照らせば問題です。そんなルールに違反していないことを根拠に正当性を主張しても、都民の目には姑息な言い訳としか映りません。

そもそも、都政資料を持って行こうが行くまいが、都外の温泉付き別荘で過ごすことを公務とすること自体に無理があります。

現状の使用規定に照らしても、出発地か到着地かのどちらかが公務先でなければなりません。公用車の日報によれば、世田谷区内の自宅に2~3時間滞在したのちに湯河原に向かった日もありました。さらに、平成27年9月1日と11月27日には、公用車で湯河原に向かい、一晩、公用車を待機させた後、湯河原から世田谷区まで公用車で送らせています。この到着場所が自宅であれば、立ち寄りの域を越えており、完全なルール違反と考えられます。

毎週のように湯河原に赴いていたことを誤りと認め、その経費を自ら算定し、進んで返却すべきであったのです。

加えて、舛添知事は、被災地の復興なくしてオリンピック・パラリンピックの成功なしと自らも発言を重ねていました。

それゆえに、わが党は知事に対し、開催地の知事として、一日も早く東北の被災地を訪問し、直接現状やニーズを探り、支援の一層の進展を期すべきと、再三要請したのであります。しかし、そのたびに、日程が取れないと実施が見送られてきました。

ところが、実際には週末ごとに湯河原に行っていた。そんな余裕があったのであれば、もっと早く被災地に行けたはずです。強い憤りを覚えます。

自らがかつて発言したことを忘れず、様々な進言にもよく耳を傾けていたら、今日のような事態は招かなかったはずであります。知事の見解を求めます。(Q14)

知事は第三者に調査を依頼したとしています。元検事といっても、結局は知事が調査費用を支払う弁護士です。第三者とは言えません。結果の妥当性が疑われるのは当然です。本来、こうした内容は当事者である知事本人が最も事情に精通した人物であり、第三者による調査・検討など必要ないはずです。調査結果を待たなければ答えられない、第三者を間に挟まなければ信頼してもらえないようななら、その時点で知事失格です。

今さら返金するのであれば、調査結果を待たずに謝罪し、自ら内容を明らかにし、速やかに都民への説明責任を果たすべきでありました。知事の見解を求めます。(Q15)

最後に、改めて申し上げます。

都庁には、2万数千件に及ぶ苦情や抗議の電話が届いていると聞きます。

わが党にも、「法に触れなければいいのか。庶民がいかに怒っているのかを分かっているのか」、「税金や政治資金を使い込んでいる。余りにもひど過ぎる。失格だ」、「調査といっても弁護士に丸投げではないか。責任逃れだ」、「会見を観て、だまされた感でいっぱい。煮えくり返る思いだ」、「上から目線。法的に×でなくても嫌悪感。もう駄目なものはダメ」といった声が連日、多数、都内だけでなく、都外からも寄せられています。紹介できないほど、激烈な怒りの声も多く聞かれています。

都民は、様々報道される一つひとつの疑惑だけでなく、あるいはそれに以上に、知事の釈明、会見の姿勢に怒りを感じています。

会見を通し感じることは、知事としての過剰な自負心ばかりで、自己保身のみであるという強い印象であります。

本来であれば、都民はこの夏のリオ大会の閉会式で、次回大会の開催都市の代表として、五輪フラッグを受け取る舛添知事の姿を晴れがましい思いで見つめるはずでありました。リオ五輪のみならず、2020年の東京オリンピック・パラリンピックへの期待感に水をさしたのは、舛添知事ご自身であります。

5月27日の定例記者会見で、知事は「私は信頼を失っていますから」と口にされています。都庁を束ねる最重要ポストに就く舛添知事は、「信頼を失っている」と開き直るべきではありません。

政治家の出処進退は、自らが決めるべきであります。しかし、昨日の記者会見により、都民の怒りの声はさらに高まり、知事の辞職を求める声は広がりを見せています。

知事はこれにどう応えるおつもりか。見解を求めます。(Q16)

【防災・減災対策】

次に、当面する都政の課題について質問します。

初めに、防災・減災対策についてであります。熊本地震は、今なお余震が続き、多くの被災者が自宅に戻れず、避難生活を余儀なくされています。

都は、被災地の要望を踏まえて、被災者支援や、今後の復興に全力で支援を行っていくべきであります。

一方、今回の熊本地震を教訓に、都は、首都直下地震等に備えて防災対策を強化すべきです。

その一つが、危機管理体制の充実・強化であります。都道府県レベルの災害対策所管組織は、平素から自治体全体の防災対策を方向付け、自ら迅速に実施するとともに、発災時には、県内外との調整を図る強力な司令塔となるものであります。そのためには十分な人員確保と高い専門性を擁する部門が必要不可欠であります。

現在、南海トラフ地震等を念頭に、愛知県は職員数110人、神奈川県は職員数124人、静岡県が132人の防災部門を擁しています。

しかし、昼間人口1,500万人を超える巨大都市・東京の防災部門の職員は93人。極めて脆弱と言わざるを得ません。東京は、日本の頭脳・心臓であります。災害によって機能不全に陥れば、その与える影響は計り知れません。防災・減災対策を進めるための課題は、量的にも他の自治体の比ではないのであります。

そこで、都は、首都直下地震等に備えるため、事前の減災対策や、発災時の応急等の対策を一貫して所管し、技術的な課題にも対応できる総合的な危機管理体制を構築すべきと考えます。都の見解を求めます。(Q1)

二点目は、学校施設の非構造部材の耐震化についてであります。

報道によると、熊本地震において、熊本県内の学校などの指定避難所70か所が被災により使用できず、うち62か所は天井材や照明器具の落下、窓ガラスの破損など、非構造部材の損傷が原因であったとのことです。

都内においても多くの学校が災害時の避難所に指定されていることから、とりわけ体育館は、非構造部材の耐震化を着実に進めていく必要があります。

非構造部材の耐震化については、東日本大震災を契機に、都教育委員会においても、体育館を中心に都立学校施設の非構造部材の耐震化を進めてきておりますが、今回の地震を契機に改めて、都内公立学校における非構造部材の耐震化実施状況をチェックすべきと考えます。都の見解を求めます。(Q2)

三点目は、橋梁の安全対策であります。熊本地震では国道325号の阿蘇大橋と、九州自動車道を跨ぐ県道の橋梁が落橋しました。

阿蘇大橋は、斜面崩壊が原因で、これに巻きこまれたものとみられています。

今回の被災の事例から、都は、例えば山間部の橋梁が斜面崩壊で落橋するような箇所はないのか、橋梁及び斜面を含む周辺環境を3次元的にみた危険度調査を実施し、優先度の高い箇所から道路斜面の安全対策を講じるべきと考えます。見解を求めます。(Q3)

また、橋脚が倒れて橋桁が落下し、九州自動車道を塞いだ県道の橋梁は、ロッキング橋脚という特殊な構造でありました。古い橋に多く見られ、耐震対策を考える上で、検証が必要であります。

ロッキング橋脚の橋梁は、道路橋に利用されているだけではなく、都市内の鉄道橋においても、道路と交差する箇所などに用いられています。その中には緊急輸送道路もあります。都内では、東京駅や有楽町駅付近等の鉄道橋に見ることができます。

鉄道橋の落橋による交差道路への影響の回避や鉄道そのものの安全性を確保するため、鉄道事業者によるロッキング橋脚の鉄道橋の落橋防止対策を促進すべきと考えます。都の所見を求めます。(Q4)

四点目は、土砂災害対策への取り組みについてであります。

都は、近年頻発する土砂災害を踏まえ、土砂災害防止法に基づく基礎調査を前倒しして進めており、昨年度までに約1万か所の土砂災害警戒区域等の指定を完了しました。

今回の熊本地震では、高齢者や障害者の避難先である福祉避難所の重要性が改めて明らかとなりましたが、都の多摩地域においても、老人ホームなどの要配慮者利用施設等から福祉避難所が指定され、その中には土砂災害警戒区域内に存在している施設もあります。

都議会公明党は、このような福祉避難所を含む要配慮者利用施設や地域の避難所について、対策事業の早期実施を求めてきているところであります。

平成27年の第四回定例会代表質問で、わが党の質問に対して都は、関係各局による検討会を設置し、年度内にハード対策の緊急性を評価する手法など定めると答弁しました。その検討結果を踏まえ、これら施設を守る対策事業を早急に実施すべきと考えますが、都の見解を求めます。(Q5)

【子育て支援の充実】

次に、待機児童対策について質問します。

本年4月、わが党が緊急要望を行ったように、待機児童対策は待ったなしの状況であり、国が策定した「ニッポン一億総活躍プラン」でも喫緊の重要課題に位置付けられています。

保育所整備の壁の一つは、都内の土地の価格にあります。この点、利用可能な都有地を低廉な価格で貸し付ける都の福祉インフラ整備事業は、わが党が強く主張してきたものであり、重要な推進策となっています。

都有地活用による保育所整備で、新たに注目を集めている公共用地として公園があります。原則、公園内では用途目的以外の建造物が禁じられていますが、都は特区制度を活用して設置できるようにしました。

特区を活用した公園内の保育所は、公園広場の10分の3を上限に、保育所を整備するものであります。

そこでまず、この推進状況と今後の活用方針について、都の見解を求めます。(Q1)

事業主体が保育所整備を躊躇する要因として、需要のピークアウトへの懸念があります。賃貸物件の活用はその点の対応策として効果的であり、わが党はその充実を求めてきました。この点、国も対策の充実を進めており、都の取り組みの一層の強化が必要です。見解を求めます。(Q2)

また、保育所とともに不足が指摘される学童クラブについても、賃貸物件の活用も含め、即効力のある整備促進策を講じるべきです。都の見解を求めます。(Q3)

保育所整備のもう一つの壁は、保育士不足にあります。

都が策定した子供・子育て支援総合計画では、今後4年間で待機児童を解消するために必要な保育士数は2万8千人。うち半数を新規就職者、残りを潜在保育士の掘り起こしで賄うとしています。これは、労働可能人口の減少傾向を考え合わせると、ハードルの高い数値であります。

一方、この計画では4年間の途中離職者を1万8千人と見込んでおり、可能な限り、離職を防ぐ具体策を講じるべきであります。

政府は先般、保育士の給与の2%相当、約6千円の増額方針を閣議決定しました。こうした待遇面の改善策や都独自の上乗せも含め、政策の総動員が必要です。

都は、副知事をトップとした検討チームを設け、保育サービスの整備目標の引き上げや、さらなる施策の充実も検討していくとしています。この検討チームでは、「ニッポン一億総活躍プラン」の内容も踏まえながら、保育サービスの整備促進や保育士の確保など、待機児童解消に向けた実効性のある対策を早急に検討すべきと考えますが、所見を伺います。(Q4)

【食品ロスの軽減推進】

次に、食品ロス削減について質問します。

先般、公明党は政府に対し、「食品ロス」の削減目標の設定やフードバンク事業の支援など具体的な政策を提言しました。「食品ロス」については、国連が2030年までに世界全体で半減させる目標を掲げており、また4月の先進7カ国農相会合でも経済や環境、社会に影響を及ぼす世界的問題と明記されたところです。

都においては、昨年度「持続可能な資源利用」に向けたモデル事業として、食品ロスの削減に都民が協力できるイベントを開催しました。これをきっかけに、現在、大手スーパーにおいて、賞味期限が近づいた商品にメッセージ入りの値引きシールを貼って食品ロスを減らす取り組みを全国展開していると聞いています。

こうした工夫は、都民が食品ロスを身近な問題として捉え、行動する機会となり大変に意義あることだといえます。今後は、製造、流通、販売、消費といった各段階に対応した取り組みをさらに展開すべきです。

昨年度の成果も踏まえ、食品ロスの削減に向けた新たな動きを支援するとともに、継続的に普及啓発を図っていくべきと考えますが、都の見解を求めます。(Q1)

【中小企業の魅力発信】

次に、中小企業支援について質問します。

ある大手就職サイトを運営する会社が行ったアンケートでは、「仕事の内容次第では中小企業でも良い」と回答した学生が約半数を占めたという結果が出ています。

しかし、学生側からすれば、中小企業に関して、会社の情報や具体的な仕事の内容などを知る機会が少なく、知名度だけで企業を選択する学生も少なくないといった実態があります。都内には、大企業を凌駕する高度な技術力を有する中小企業や、働きやすい職場環境を持つ企業など、素晴らしい魅力を持つ中小企業が数多くあり、こうした中小企業の姿を積極的に学生に対し発信していく必要があると考えます。

都は、広報冊子等で中小企業を積極的にPRしておりますが、こうした優良な企業を掘り起こし、その魅力を学生や大学の就職担当者にしっかりと発信する取り組みをさらに進めるべきと考えます。都の見解を求め、質問を終わります。(Q1)

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