都内農地の存続に大きな一歩!貸借を可能とする新法が可決・成立しました

昨日、衆議院本会議で、公明党が長年にわたり推進してきた「都市農地の貸借の円滑化に関する法律」が全会一致で可決、成立しました。

都市農地の貸借が可能になりますと、農地の所有者が高齢化したりして自作が困難になったり、後継者がいないため営農の断念を余儀なくされたりする場合であっても、営農を希望する他の農業者にこれを貸与して、土地の所有権を保持したまま、他者による営農で農地状態を継続することが可能になります。

これが進めば、相続の機会が発生するたびごとに進んできた農地の減少を防ぐ効果の発揮が期待されています。「モリカケ」や「セクハラ」「日報」の問題などで、様々な重要法案の審議が政局の駆け引きに利用され、そっちのけ状態にされてる今国会で、この新法が晴れて日の目をみるか大変心配されていましたが、ほっと一安心というところです。

これまで、都市農地の貸借の可能化は、主に二つの壁によって阻まれてきました。一つは、農地を貸した場合、借り手による営農を継続が優先され、貸し手側の意思で返却を求めても返してもらえなくなるという不安であり、もう一つは、生産緑地制度の中で、相続税の納税猶予を受け続けるためには、自作農が前提条件とされ、貸与では納税猶予を受け始めた時点に遡って猶予期間分の利息付で納税を求められるという税制度の壁でありました、

今回の法改正により、生産緑地制度にも適用されてた農地法の規定による「法定更新」適用の例外が新たに設けられ、貸借期間が終われば生産緑地農地は自動的に所有者に返還されことになりました。

さらに、税制においても、生産緑地農地を貸しても相続税の納税猶予が継続される措置が新法の施行を同時に開始されることになっています。

「法定更新」とは、当事者が契約を更新しない旨を通知しない限り、従前の契約と同一条件で自動的に契約が更新されるものです。これは、貸し手側の都合で、借り手側の「営農」という職業選択が不適切に断念される事態を防ぐためのもので、古くは第二次世界大戦後の米国GHQによる農地解放、すなわち「小作人」という不安定な農業従事者の職業形態を是正するための措置に淵源を持つ発想と捉える人もいます。しかし、この「法定更新」があだになって貸与が敬遠されるようになり、「土地所有者の自作断念=農地の消失」という現象が定着してしまっており、これでは、「借り手側の権利」を守る云々以前に、農業存続の危機につながる問題でありました。

都市農地は、生産者の顔が見える安全な食材の提供だけでなく、温暖化の防止などの環境上の利点や緑の美観だけでなく、防災や地産地消による食育の推進など多面的な効果があります。緑の維持という点だけでも、もし、農地を行政が購入して公園として管理するとなれば、初期費用やメンテナンス費用などに莫大な金額の税金を投入しなければなりません。

私は、公明党東京都本部の都市農業振興プロジェクトチームの事務局長であり、東京都の農林・漁業振興対策審議会の委員であります。この新法の成立と税制改正の風を逃さず、農地存続に向け、施策の強化を図ってまいります。

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