植林する林業と植林しない林業、どちらを選ぶ⁉ 瀬地山 角 教授の講演を伺いました

「世界一受けたい授業」に出演されたことがある東京大学大学院総合文化研究所の瀬地山 角 (せちやま かく)教授の講演が、足立区と足立区女性団体連合会様の共催で開かれ、私もご案内を頂いてエル・ソフィアを訪れ、拝聴させていただきました。

この講演会は、「女(ひと)と男(ひと)のホンネでふぉーらむ」と銘打たれた、男女共同参画週間記念事業の一貫で実施されたものです。

瀬地山教授は、10年に及ぶご自身の二人のお子様の保育園の送迎や夕食づくりを経験され、ジェンダー(社会的性差)諭の第一人者とのことです。

子育てを過度に女性の負担としてしまったことに、少子化の原因があるとの指摘や、仕事を諦めなくても子育てや介護に取り組める社会が本来の姿との問題意識、子育てや家事・仕事に本来「性差」はないとのお立場は、ご経験を踏まえてのご主張であり、示唆に富むものでありました。

特に、子育てが仕事と両立しない社会の現状は、社会の持続可能性を自ら断ち切るものであるとの警告は、「植林をする林業と植林をしない林業のどちらを選ぶ⁉」との瀬地山氏の卓越した比え話?によって、とても分かりやすく、印象的に記憶に残りました。

この例え話は、改めてご説明するまでもなく、植林には手間もコストも伴いますが、植林をせずに切り出しだけを行っていけば、森林は確実に枯れ果てます。しかし、目前の利益を考えれば、当然、植林をしない林業者から木材を購入した方が安いのです。将来世代のために、森林を残すためには、高コストではあっても、植林をする林業者から木材を買うべきであるというのです。

この例え話を瀬地山氏が用いられた意図は、まさに、子育ては社会の持続的発展に必要不可欠な取組でありながら、目前の効率性のためだけに長時間労働や女性への極端な家事の押し付けを許してきた共同責任を公衆に訴えることにあると感じました。

「植林をする林業と植林をしない林業のどちらを選ぶ⁉」―瀬地山氏が付言されたとおり、この発想はSDGsの視点に立つものであり、子育て支援、性差を越えた社会的協力、防災、消費者行動、環境保護、様々に展開できます。この言葉をお借りしながら、都政の場で役立っていきたいと思います。

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